、ついこの間お邸に見えた藤崎周水という易者《えきしゃ》がよ、あれが実は水戸の人で山崎譲という人だ」
「そうか、あの易者か。あれがまたなんだってこんな山へ来て、こちとらに会いてえというんだろう」
「あれは易者を看板にしているが本当は易者じゃねえんだ、もとは水戸の士《さむらい》よ。御三家の侍だから、こちとらとは格が違わあ。それで本名が山崎譲、うちの旦那の神尾様とは前からのお知己《ちかづき》だ」
「それで、こっちが神尾主膳でここへ乗込んで来たことを聞いて、拵《こしら》えものとは知らねえものだから、いい幸いで会いに来たのだろう、悪いところへ碌《ろく》でもねえ奴が来やがった」
「けれどもなんとか始末をしなくちゃあならねえ、せっかくここまで漕ぎつけたところで、ここで化《ばけ》の皮《かわ》が剥げたんじゃあ、宝の山へ入って馬の皮を持たせられるようなものだ。なんと同役、とてものことにその山崎という奴を、うまく賺《すか》して押片付けてしまおうじゃねえか」
「そいつは駄目だ」
 同役の木村は、せっかく太く結い上げて来た髷《まげ》を惜気《おしげ》もなく左右に振り立てる。
「駄目だとは?」
「とてもとても。その
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