ほか太鼓判《たいこばん》の一分が俵に詰めて数知れず、たしかに其方《そのほう》の家屋敷の中に隠してあるに相違ない、ここで申し上げてしまえばお慈悲がかかって不問に置かれる、強情《ごうじょう》張って隠し立てを致すにおいては罪が一族に及ぶぞよ」
厳《おごそ》かに言い渡しているのは意外にも先日、甲府の旗亭で、神尾主膳と酒を飲んでいた折助《おりすけ》の権六でありました。それがいつのまに出世したか、威儀厳然たる勤番格の武士の形になって、調べ吟味の指図役《さしずやく》に廻っていると、慄《ふる》え上っている望月の若主人は、
「どう致しまして、金銀を隠し置くなどとは以てのほか、先刻、家屋敷の隅々までも御捜索くだされた通り。また手前共の財産、すべて記録に差上げたものに寸分いつわりはございませぬ、お吹替《ふきか》えのありまするたびに、員数を改めて差出しまする古金新金、それを隠し置きまするような覚えは毛頭《もうとう》ござりませぬ、御念の上ならば、もう一応、家屋敷をおさがし下されまするように」
畳へ額を擦《す》りつける。
「黙らっしゃい、其方の隠しておくところが家屋敷ときまったものではなかろう、世間の噂では持
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