里帰りの五日が、どんなにお待遠しいことでしょう、両方の親御さんたちも本当にこれで御安心。ああいうことを見ますと、ひとごとでも嬉しくてたまりませぬ」
「里帰りといえば、これからあの八幡村まで帰るのか」
「左様でござんす、お馬やら釣台《つりだい》やら、あとからあの通り続いて参りますが、なんでも御旧家のこと故、すっかり古式でやるのだそうでござんす」
「いや婚礼というものは、慶《めで》たいことではあろうけれど、なかなか手数のかかるものじゃ」
「誰でも一生に一度は、その手数をかけねばならぬものでござんす。あなた様なぞもさだめし、こんなにおなりなされぬ前は、あんな手数をかけて、お喜びになったものでござんしょう」
お徳は愛嬌《あいきょう》よく言う。
「あたりまえならば、そんなことになるのであったろうが、わしのはあたりまえの道を失ってしまったから、それで更に手数がかからなかった」
七
旗本の神尾主膳《かみおしゅぜん》はお預けから、とうとう甲府|勝手《かって》に遷《うつ》されてしまって、まだ若いのに、もう浮む瀬もない地位に落されたが、当人はいっこう平気らしくあります。
地位の
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