、それを聞きたい」
「これは十津川《とつがわ》でやられた。京都から引返して来るときに、伊賀の上野で天誅組の壮士というのに捉《つか》まり、それと一緒になって十津川へ後戻り、山の中で煙硝《えんしょう》の煙に吹かれてこうなってしまった」
「それは気の毒、全く見えないのか」
「初めのうちは少し見えたが、今は全く見えない」
「そりゃ災難じゃ、なんとか療治の仕様もありそうなものじゃ」
「療治も相当にやってみたが、本来、天のなせる罰《ばち》が報《むく》うて来たのだから」
「罰? 気の弱いことを言うな」
「どうも人間業《にんげんわざ》では癒るまいよ。それがために世間のことは一向わからぬ、近藤や土方は無事でいるか、芹沢との折合いはどうじゃ」
「君はそれを知らぬか、いやそりゃ、大変なことじゃ、四方八方、蜂の巣を突きこわしたようなもので、どれから話していいか」
「そうだろう」
山崎と呼ばれた男は易者《えきしゃ》のような風をしていたが、浴室の中へ入って来て小さい声で、
「まず第一、芹沢が殺されたことを吉田、お前は知っているか」
「芹沢が……誰に」
「仲間に殺された」
「仲間の誰に」
「仲間といえばたいてい見
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