んない》から東の方へ出ようということになりました。隣り隣りというてもなかなか遠い、山の間《あい》や谷の中から娘たちがゾロゾロと集まって、お徳の家へ詰めて来ながらの話、
「わたしが思うのには、お徳さんは今度は出かけられないかも知れませんわ、もしお徳さんが出かけられなければ、組の頭《かしら》はお浪さんになってもらわなければならないでしょう、まあお徳さんの了見《りょうけん》を聞いてみてからのこと」
「お徳さんは、あのお武家《さむらい》さんをどうなさるつもりでしょう。あのお武家さんはお眼が悪い上に、お身体も本当ではないのを、お徳さんが引受けてお世話をなさると言っておいでだが、お徳さんはお世話好きだからよいけれども、もしあのお武家が悪い人であったらどうでしょうね」
「お徳さんは、きっとあのお武家を好いているのですよ、ついこの間の晩も、庭でもって歌をうたって聞かせていましたよ、それに蔵太郎さんもあのお武家に懐《なつ》いているから、まるで夫婦と親子のように見えました」
「ほんとに、お徳さんは好いているならば、あのお武家と一緒になったらどうでしょう、お武家さんの方でもいやでなければ、みんなで取持ってお
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