ちょうど竜之助が大津へ着いた頃、男女《ふたり》は鈴鹿峠の頂《うえ》を越えたものでありました。お豊の実家で娘の姿が見えぬとて、親たちもお豊の婿《むこ》になるべき人も血眼《ちまなこ》になって、八方へ飛ばした人が、関と坂下へ来た時分には、男女《ふたり》の姿は土山《つちやま》にも石部《いしべ》にも見えませんでした。



底本:「大菩薩峠1」ちくま文庫、筑摩書房
   1994(平成6)年12月4日第1刷発行
   1996(平成8)年3月10日第5刷
底本の親本:「大菩薩峠」筑摩書房
   1976(昭和51)年6月初版発行
※底本は、物を数える際や地名などに用いる「ヶ」(区点番号5−86)を、大振りにつくっています。
入力:(株)モモ
校正:原田頌子
2001年5月9日公開
2004年3月5日修正
青空文庫作成ファイル:
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