、社中でも奨励するものもあり、内心嫌がっているものもあり、どうもそれは已《や》むを得ないことだと思った、それに我輩が誰れが何といって来ても芝居や映画等に同意しなかったものだから、新聞社の景気の為にもその自我を相当に煙たがっていた者もあったようだが、小生はこの小説は長く続く、或は古今|未曾有《みぞう》の長篇になるだろうという腹はその当時から決めていた。
 当時の※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]絵は第一回から通じて井川洗※[#「厂+圭」、第3水準1−14−82]君の筆であった、甚だ稀に数える程洗※[#「厂+圭」、第3水準1−14−82]君が入営するとか、病気とかいう時に門下の人が筆を執ることもあった、洗※[#「厂+圭」、第3水準1−14−82]君も社員の一員として専ら小説の※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]絵を担当し、第一回三回とも毎日二つ描いていた、当時新聞の小説は都でなければならないように思われ、また新聞の※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]絵は洗※[#「厂+圭」、第3水準
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