装日本紙にして第四冊「三輪の神杉の巻」第五冊「竜神の巻」第六冊「間の山の巻」第七冊「東海道の巻」第八冊「白根山の巻」第九冊「女子と小人の巻」第十冊「市中騒動の巻」までを出した、製本体裁すべて手製の第一冊第二冊と同じことだが、第三冊からはルビ付になっている点がちがう、それから第一冊第二冊もまた改めてルビ付にやり直して貰うようにしたと思っているが、兎に角一切合切手塩にかけてやり上げた珍物は第一冊「甲源一刀流の巻」と第二冊「鈴鹿山の巻」のフリ仮名のつかないのがそれである、然もそれは二百四五十部しかない処、大部分は東京市中へ出ている、それがやがて大震災に遭ったのだから、もし残存しているものがありとすれば非常な珍物中の珍物で後世の愛書家などの手に入ると莫大な骨董的評価を呼ばれるようになるだろうと思う、先年東日、大毎に連載する当時に、著者が神楽坂《かぐらざか》の本屋で一冊見つけ城戸元亮君に話をすると直ぐに自動車で一緒に駈けつけたが売れてしまっていた、新版のいいものが沢山出ている時代にあれを買った人は果して珍書であることが分って買ったのかどうか、この和製日本紙刷の玉流堂本にもあとで自由活版所にやらせ
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