あめんちあ
富ノ沢麟太郎

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)掩《おお》いかぶっている

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)見|馴《な》れすぎている

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「やまいだれ+音」、第3水準1−88−52]

〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)〔de ne pouvoir e^tre seul.〕
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://aozora.gr.jp/accent_separation.html
−−

 彼はどっしり掩《おお》いかぶっている雨催いの空を気に病みながらもゆっくりと路を歩いていた。そうして水溜のように淡く耀いている街燈の下に立止るたびに、靴の上へ積った砂埃《すなぼこり》を気にするのであったが、彼自身の影さえ映らない真暗な路へさしかかると、またしても妙に落着きを装うて歩きつづけるのであった。
 彼がようやく辿《たど》り着いたこの路は、常に歩き
次へ
全91ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
富ノ沢 麟太郎 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング