養は今問題でない。本を読む人間の内で、読書子や「読書家」は決して信頼すべからざる文化人である。彼等は雑誌の投書階級のような特色を、一般文化の上でもっているようにも思われる。一種の謙遜な弥次馬でなければ、不遜な能無しである。
こういう読書子は決して「読者」の代表者ではあり得ない。真の読者は読書主義には陥らぬものだ。というのは本を読むと同時に、それだけの分量の時間を、自分自身で物を考えるのに使う義務をみずから課しているのが、本当の読者である。本を読んだかどうかを記憶する人ではなくて、本を読むことによって何を考えたか、を記憶する人が、本当の読者である。
ブック・レヴューが最近盛大であるが、これはこういう「読者」を代表するところの、批評家の大きな仕事の一つなのだ。文芸の出版物を批評することが所謂文芸批評だとすると、一般の出版物を批評するブック・レヴューはクリティシズム一般の仕事の筈である。ブック・レヴューは、本格的な文明批評の一環である。アナトール・フランスなども文芸上のブック・レヴューによって名をなした。古来批評家は書評家である。ということは、批評家は本当の「読者」の代表者だということで
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