う(私個人の関心が累して遺漏と偏局とがあったと思う。紙数の制限のために省いたものも多い)。
[#改段]


 ※[#ローマ数字5、1−13−25] 余論




 1 ブック・レヴュー論


 厳密に考えて行くと、ブック・レヴューというものの意義は意外の処へ連っている。元来「本」という物が、一方に於ては思想の表現物だし、他方では之とは独立的に、一つのジャーナリズム的商品で、印刷や装幀という物質的条件を含む。本に現われた表現報道現象の、表現上又は報道上の価値は、必ずしもそのまま本という商品の交換上の価値であるとは限らない。現に、本という商品はその内容の良さだけで売れるのではなくて、本の名前や著者の有名さや人気や時宜や広告のスペースや広告文の偉力で売れるわけだから。
 本というものがこういう二面を備えたもので、而もこの二面は必ずしもうまくソリの合ったものではない。だから、ブック・レヴューも亦単純なものではない。思想表現物としての本という側からブック・レヴューを試みれば、之は正に評論・レヴューというものであって、単に本自身を批評するのではなく、之によって著者の思想自身を批評するのだ。この種の
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