り、同時にここが本書の結局の価値である。――私はこの点甚だ同感だ。だが依然として、この反逆が反逆一般であることについては心配がなくはないのである。清水氏は、この本を、人間を「強く」し、人間が自己を「幸福」にするために書いている。そのモラリストらしい心情は共感を禁じ得ない。ただ強がることも「強く」なることの具体的な一場合だし、「好い気になる」のも幸福の一種であるということを、清水氏は林首相や文武官僚などに教えねばならなかったのである。
 私はこの本を実は、極めて特色の豊かな、而も時代を象徴するに足る、良書だと思っているのだ。それだけに自分の意見を混えて見たくなるのである。
[#改段]


 9 朗らかな毒舌
       ――『現代世相読本』――


 阿部真之助氏の『現代世相読本』が出た。みずからいうところによると「この二、三年来の私の所謂『毒舌』の集積であって、いい換えると、私の善人振りを証明したものである」という。この言葉は決して嘘ではない。これほど痛快な毒舌を他に求めることが出来ないと共に、これほど善意で朗らかに読み取れる毒舌もまた少ないだろう。阿部真之助氏独特の毒舌タイプである
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