#「今日」に傍点]の日本で方々に新しく顔を出し始めた社会学は、社会主義的社会科学から手を引いた各種の文化論的社会論のことであるのを注意したい。之は現下の新しい形而上学である、文化的形而上学である。之は日本の思潮に現われ始めた新しい体系だ。
 この新しい何年型かの流線型哲学は、個人を社会から奪還することに情熱的であることを、共通特色とする。だが個人をそこから奪還せねばならぬその社会とは何か。階級的闘争場裏である社会から個人にまで脱却せよというのか、それとも又、ファッショ化乃至アブソリュティズム化しつつあるこの日本の社会から吾々民衆の各個人を防衛せよというのか。清水氏の本書に於ては、恐らくそのどっちでもあるようだ。そしてこの二つの区別が大して問題にならないようなシステムが、正に本書の特徴をなす。氏は今日の文化人の信念である反ファッショ的情緒をこの本の至る処に侵み出させている。だが之は「社会」なるノモス[#「ノモス」に傍点](法則)の世界に個人なるフューシス(自然)を対立させよということで、実地上の効果を期待出来るものだろうか。又理論上の論拠を与えられるものだろうか。
 氏は反ファッショ的な
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