れもこれも、心理学的地盤にだけ立って意識形態を説明しようとする「心理学的イデオロギー論」(著者達はそういう言葉を使っている)だという点にある。それはまだ社会意識[#「社会意識」に傍点]の理論にはいる処にまで来ていない。そういう意味で今の場合は、イデオロギー論の前史にぞくするものといって好いだろう。――私はこういう心理学的イデオロギー論に因んで、現在のフランスの一群の心理学者達(リボーやポーラン)を思い起こすのである。
この書物を読んで私は様々な種類の喜びを感じる。イデオロギーの研究でこれまで一等欠けていたのが、あたかもこうした実質のある歴史的叙述だったからである。又、これによってイデオロギー論の心理学や人間学に対する連関をハッキリと示すことが出来るからである。そして最後に、こういう研究にもっとも便宜を有っているアカデミー社会学の一角から、一流の気むずかしさや萎縮を蹴破って、新鮮な仕事が発表されたのを見るからである。これは三部からなる研究の一部だそうであるが、第二部第三部が早く出版されれば好いと考える。
[#改段]
5 『唯物弁証法講話』
マルクス主義哲学或いはもっと正確に
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