であるこの「科学主義工業」にとって、この要点がどんなに重大な個処をなしているかが、ここからも判ると思う。――之によって所謂熟練工の問題も原則的には解消するし、農村に於ける工業の合理的基礎も置かれると氏は説いている。なぜというに、元来、科学的工業立地の上から云って、比較的運賃を食う農村には、価格に較べて出来るだけ運賃の安い製品ほど生産に適しているわけだが、処が恰もそういうものは、精密機械の部分品でなければならぬ。処が今云ったことから、そうした精密工業生産に於ける所謂熟練は、科学主義工業のおかげで機械がとって代るのであるから、この農村に科学主義工業的な施設(精巧で分化した工作機械その他)さえ設けられれば、精密機械の部分品は、熟練の不足な素人農民のための、この上ない工業生産となり得るわけである。
 だが所謂科学主義工業、つまり科学的研究の成果を思う存分充用した工業、がコストを何等かの形で引き下げるということは、要するに常識的に見当のつくことだ。大河内氏に聞くべき点は、それがどういう実際的な内容に於て行なわれ得るかということだ。そこでは博士の機械学者らしい専門的知識(博士の元来の専門は兵機であ
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