あるが、処が他方では農村などで科学主義工業による賃金が高すぎて困ると云って非難さえされているのが事実であるという。著者大河内博士自身も、しばらく前までは農村工業が低賃金である故に有利だと考えていたが、今それは「慚愧にたえぬ」という。併し科学主義工業がなぜ高賃金であるかは後にして、なぜそれが低コストであるかから見て行こう。
 科学主義工業はまず工業立地の方針を科学的ならしめる。地方の情実や資本主義工業による様々の陋習に捉われず、原価を決定すべき一切のファクターを総体に於て最低たらしめるべく、科学的な工業立地を採用せねばならぬ。次に科学主義工業は熟練を科学によって置きかえ、熟練のために要する時間を出来るだけ短縮するような、専門的に分化した精密な機械(工作機や測定機)を採用する必要がある。この点科学主義工業が就中科学的である所以で、農村の素人の婦女子でも直ちに熟練出来るように、熟練の時間が節約出来る機械を工夫すべきである。そして之は農村に於ける工事場に於て、現に実現されているという。著者は之を「熟練の大衆化」と呼んでいる。工業の地方分散(五年前の著者の見解)は科学主義工業的ではない、日本の農
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