ランスの国文学』として見ないで、これを同時代(コンテンポラリー)の文学として、世界文学の立場から見ようとしているものと、どこか一味通じている。」この言葉は多分当っているだろう。本書を繙いてまず感じることは、フランス文学の報告書であるこの本が、普通の現代フランス文学の紹介書のようにフランス文学だけに興味を持っているのではなくて、正しい世界文学的角度から之を問題にしているのだ、という点である。次に又気のつくことは、フランス文学を単に文学だけの興味から取扱っているのではなくて、正に文化[#「文化」に傍点]と思想[#「思想」に傍点]との観点から取り上げているのだという点である。著者がフランス文学に於て見ているものは現代世界文学[#「現代世界文学」に傍点]の一環であり、且つ文化上の思想対立[#「文化上の思想対立」に傍点]なのである。私は本書を、「文化問題」にかかわる最近の若干の単行本の一つとして、尊重すべきだと考える。今後新しい意味に於て、「文化問題」が社会の只中に押し出されるだろうと観測されるからだ。
直接思想対立の現象を取り扱ったものは、最後の二章(第十三・第十四)の「左右両翼の主張」であ
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