政治的批判(社会機構の分析の上に立脚する)がその条件とならねばならぬではないか、という疑問だ。著者が実践的な社会理論家ではなくて、学究的な社会理論家であるということが、ファシズム・イデオロギーに対する政治的水準と政治的角度とを許さぬらしい。だが本書のような仕事は、却って又、例えばパーム・ダットなどでは見得ないものでもあるのだ。
 (一九三六年十二月・岩波書店版・菊判・四八〇頁・定価三円)
[#改段]


 16[#「16」は縦中横] 早川二郎著『日本歴史読本』


 以前発表された『日本歴史読本』を殆んど全部に渡って書き改め、全く別稿としたものである。旧版以来の新興歴史学派の諸業績を摂取し、多少の意見を変更し(奴隷所有者的構成や近世土地制度の沿革についての如き)、「経済史的偏向を可成り克服し」、「個々の政治的事件・制度・人物等に渡っても大いに述べた」と著者は云っている。
 第一章は「原始時代及び『部』民制度の時代」(この部分は考古学的考証の新しい成果から出発している)、第二章は「『アジア的封建主義』の時代」(ここでは当然奴婢乃至奴隷と荘園発生発展という最も問題を含む部分が取り扱われてい
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