近代観念論とフィロロギーとの関係は実に深いだろう(フンボルト・ニーチェ・シュライエルマッハー・ディルタイ・ハイデッガーなどは云うまでもないとしてヘーゲルさえ)。否、プラトン・アリストテレス・でさえ、関係は浅くないようだ。とにかく近代に於いては哲学的フィロロギーは唯物論の最大の敵手の一つのようだ。
 この書物は現代日本に於ける唯物論の発達にとって、一つの有用な踏台を提供するものである。そのオリジナルな功績は注目と尊敬とに値いする。
 (一九三六年・白揚社版・菊判四〇三頁・定価一円五〇銭)
[#改段]


 10[#「10」は縦中横] 岡邦雄・吉田斂・石原辰郎著『自然弁証法』


 本書はまず二つの著しい特色を有つ。第一は自然弁証法に関する日本に於ける最初の纏った叙述であるという特色だ。本書の内でも触れているように、日本にも自然弁証法に関係した著述は決して少なくないが、基本的な問題から検討してかかった単行本はない(訳は別として)。小冊子ではあるがこの点、記憶されるべき云わば画期的な作品である。第二の特色は、之が三名の著者の真の共同研究になるものであるばかりでなく、同じ問題に就いての三名夫々
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