が法の哲学から分離し、従って倫理学の代りに社会科学的道徳理論が発生する一応の基礎は、この時出来ていたと見るべきだろう。社会科学的な道徳理論の原則乃至方法である史的唯物論は、『ドイツ・イデオロギー』を以てその基本的な労作とする。――だが実は、社会科学乃至マルクス主義による道徳問題プロパーに関する文献は、極めて乏しいことを告白せねばならぬ。
E・A・プレオブラジェンスキーはパンフレット『道徳及び階級規範について』(希望閣訳版)で云っている。「道徳問題に関するマルクス主義文献は――云うに足りない。マルクス及びエンゲルスの著書及び手記の或る個所、並びに史的唯物論の理論に関するマルクス主義文献に於ける道徳方面について軽い論述の他には、K・カウツキーの有名なパンフレット『倫理と唯物史観』、G・V・プレハーノフの著作の或る部分、特にフランス唯物論者に関する部分、A・ボグダーノフの著作の或る部分、N・ブハーリンの著書『史的唯物論の理論』の或る頁、マルクス主義的見地からは完全に良いとは云われないのが、J・ディーツゲンの或る著作、を示すことが出来る。そしてこれで全部であるように思われる」云々。――無論広
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