聞かされている処である。ヘーゲル体系の弱点は、その方法(弁証法)とそれの使用の客観的な必然性とに拘らず、一つの封鎖された閉じた体系を与え得ようと欲する処に存する。その一例はヘーゲルの国家の概念であって、当時の現実のプロイセン的国家の諸規定が、他ならぬ国家のイデー[#「イデー」に傍点]にされて了っているのも、体系が現実に終りに到着出来ると考えたその有限的な弁証法(有機体説的全体説)の形式のおかげだが、こうした有機体説的弁証法を採用させたのは又、彼の愛好した体系なるものの性質の欠点からだ。この観念論的体系[#「観念論的体系」に傍点]が、その弁証法という方法をも、観念的なものたらしめた。――云われているように、ヘーゲルの体系の客観的意図は(ヘーゲル自身の主観的意図はとに角として)、従来の観念論通り、単に世界を解釈することにあって、世界を変革することにはなかった。解釈のための体系としてなら、世界を理性の自己発展と見ることは、最も面倒がなく手際よく行くものに相違ない。
でこの解釈の哲学[#「解釈の哲学」に傍点]の体系に立つと、社会的な諸世界も凡て法という性格を有ち、客観的精神という本質のものに
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