労働婦人の革命的役割を見ても知られるだろう(コロンタイ『新婦人論』を見よ)。
だが新しい道徳の建設又は建設の見透しは、同時に新道徳の観念[#「観念」に傍点]の建設と平行せねばならぬ。大いに、新しい道徳[#「新しい道徳」に傍点]に就いての観念を建設するだけではなく、道徳に就いての新しい観念[#「新しい観念」に傍点]を必要とするだろう。そしてこうした道徳の新観念を理論的に仕上げるためには、新しい物の考え方・方法の考察も亦必要となるだろう。私がこの本で企てる処は、どういう風に考えれば、道徳に就いての最も科学的な観念を得るかということだ。この観念によって、新しい道徳の建設という課題も、初めて充分に目的意識的に、而も包括的な観点から見たその含蓄に於て、解けるようになるのではないか、と思っている。
この手短かな本で以て、私が新しい道徳そのものを説き立てるというようなことは、元来出来ない相談でもあるし、少し滑稽なことでもあろうと考える。私の問題はもっと手近かにある。現下の既成乃至待望道徳に対する吾々の不信を系統化することだ。そしてそれが道徳なるものの新観念[#「新観念」に傍点](尤も本当は新しく
前へ
次へ
全153ページ中33ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング