得ないように、段々なって来るのである。――そういう事情の一つの現われが家庭の親達を入学試験の受験責任者にするのであって、旦那様は外で働き、奥様は家庭の取り締り役に任じ、坊ちゃんやお嬢さんはママと女中とが育てると云ったような、中産以上の社会層に見られる所謂家庭らしい秩序の外面を保っている家庭では、子供の入学試験・試験地獄は、もはや子供のものではなくて、お産や病気と同じように、全く家庭の日常の主婦的な心配事と相場が決って来ている。
 で、小市民層以上のパパやママが、試験地獄を気に病む程、実は却ってそれだけ試験地獄は深刻化して行くことになるのだ。子供達がこの試験地獄から解放されるためには、彼等は入学試験から解放されるよりも先に、家庭から、家族の一員としての母性愛的隷属から、解放されなければならぬ。夫はつまり日本[#「日本」に傍点]の「家庭」というものが従来の魔術を失うことなのだ。
[#改頁]

 21 学生スポーツ論

   一 スポーツ・就職・学生[#この行はゴシック体]

 政治家などは多分、忙しくて困る困るといいながら、忙しくしていないと居ても立ってもいられないのだろう。学者は苦しい苦
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