授でありさえしたら、一向怒ることはない筈ではないか。そこにムキになって怒る処を見ると、大学教授連盟そのものが甚だ心細い教授達の集まりではないかと心配になる。かつて陸軍の新聞班が発行した処の議会でも問題にされたパンフレットが世間で話題に上った時、率先して満場一致でこの陸軍パンフレットの支持を決議したものは、この大学教授連盟主催の教授達の会合であった。それから又満州から軍人が帰って来たと云っては、御高話拝聴と出かけるのも、この大学教授連盟なのである。この大学教授連盟は、陸軍の将校達を学問上の指導者と仰いでいるようにさえ見える。
だから大学教授連盟が「嘆きの天使」の教授侮辱劇を気に病むのも強ち理由がなくはないので、実際をいうと日本の大学教授や高等学校教授には、充分に侮辱に値いする存在が決して珍しくないのである。現に私の友人で、或る地方の官立高等学校の教授をズットしていたのが、一つには同僚の愚劣さに耐え兼ねて、遂々東京に逃げ帰り、今では安い俸給生活やルンペン生活をやりながら却ってホットしている男を、二人までも知っている。そして之は何も高等学校に限らないことだ。愚劣な教授が侮辱された方が却って
前へ
次へ
全451ページ中294ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング