的生活に立ち入ることが出来るという事実をも、吾々は注目しなければならない。
 元来、所謂「上流社会」は「下層社会」に較べて、有産者らしい便宜や名誉のおかげで、生活のプライヴァシーが遙かに厚く社会的に保護されているから、有閑マダムのプライヴァシーを曝くということは、下層社会のお神さん連の公的な風紀壊乱を指摘するのと全く同じ水準の社会取締り方針にぞくする。取り締りに階級的えこひいき[#「えこひいき」に傍点]がないことを示すためには、甚だ有効な手入れ[#「手入れ」に傍点]だと思うが、併しその形式から見れば、有閑マダムの検挙(?)は、私的生活に、公的生活の口実を藉りて、風紀警察権が勝手に立ち入った形に他ならない。
 偶然名流文士達の賭博という犯罪[#「犯罪」に傍点]が発見されたというので、マダム達の検挙もやや合理的になり得るものの、それから又、道徳が頽廃(?)した現代のために警鐘を打ち鳴らすという点では、相当痛快ではあるものの、とにかくこうした道徳的[#「道徳的」に傍点]な役割は、風紀警察の出すぎた一例となるだろう。
 文化警察もその通りで、例えば思想警察権は今日次第に思想者の私的生活にまで立
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