を奏したり被告の武運長久の祈願をこめたりしている。但し対手は神様なのだから之は被告賞恤や減刑請願になる心配はないので疑いもなく歎願だから心配しなくてもいい。
関西の軍需品製造の某資本家は、陸軍被告家族一同に対する慰問金として、陸相あて金壱百円也を寄贈した処、当局から早速家族にその旨通知すると、家族達は事件当日首相官邸で殺された某警官の遺族に之を譲ったそうである。時ならぬ減刑美談ではあるが、救援活動も×××ものになると、情を知っていようがいまいが、××で済むものもあるらしい。
減刑運動はこう云う次第でかく取り扱いにくい。之には警察当局も痛し痒しで、その取り締りの程度に迷って了う。何しろ相手は×××背景にもっているのだからウッカリしたことは出来ないのだ。そこで警保局は緊急対策を慎重協議の揚句、あたらずさわらずの方針をヤット確立することにしたのである。それによると歎願書署名運動のような「純真」なものは徒らに抑圧してはいけない、単に不純な意図や不純な方法によって行われるものだけを、取り締りさえすればよい。凡そ苟くも本運動を抑圧するかのような誤解を民衆に起こさせてはならぬ。そういう通牒を地方
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