――科学を倫理化するのに恐らく最も手頼りになるものは宗教である。そこでこの「思想対策閣議」でも「宗教を振作し宗教家の覚醒を促しかつその活動を積極的ならしむ」るというようなプログラムをつけ足してある。この言葉は一寸利口そうであるが、併し当局が宗教[#「宗教」に傍点]というものの現実をどの程度に理解しているかになると、全く心細いのである。例の「敬神思想」と云った程度のことなどを考えているのだと、多分バチが当るだろう。文部省など、もう少し勉強[#「勉強」に傍点]しなければ、科学を倫理化することに成功しないだろう。それが成功しない以上、教育の倫理化だって成功しはしない。
三、度量衡の道徳
昭和九年、即ち一九三四年(国際的にはこう云わないと決して通用しない)、六月一杯で、尺とか升とか貫とかいう日本古来の旧度量衡が廃止されることになっている。一九三四年七月一日から所謂メートル法(C・G・S・システムはその一種の部分)が専ら実用になる筈になっているのである。尤も時間は、度量衡の外で、不思議にも、大体国際的[#「国際的」に傍点]であるようで、国際労働会議に出て日本の政府、資本家、代表が労働
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