と同じことが、教育家(「先生」)の特権に就いても起こるのである。
成城学園は小原国芳の名と自由教育の名とによって知られているが、その当の校長小原氏が学園を追い出されて、代りに三沢氏が校長に直るということで、成城問題が始まったことは読者の知る通りである。
小原氏という人は全く東洋のペスタロッチ(教育家は偉い人をみんなペスタロッチと呼ぶことにしている)その人で、学校経営には年少から一貫した趣味を示している人だそうであって、財団法人成城学園の外に、自分だけの玉川学園という労働学校(?)も経営している。――氏によれば、教育の理想は、先生が講義をする代りに生徒に勝手な仕事をさせて之を指導することにあるそうだ。教育評論家達は之をブルジョア自由教育と批評しているが、多分当っているだろう。問題の京大前総長小西重直博士(教育学専攻)に、恩師で且つ有力者だという理由で、この間まで学園の総長に据わって貰っていたことは時節柄面白いが、本間俊平というような「聖者」を引っぱって来たり何かするのは、どういう意味だか好く判らない。だがとに角、肝心のこのペスタロッチが学園を追い出されるのでは、千円から三千円迄もの入
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