しているという点なのである。こうした巡査の特権[#「特権」に傍点]に就いての矛盾の感じが夫なのである。そして人民(?)に於てはこの矛盾感は中々深酷なのだ。
巡査は人民(?)に対して特権の所有者だ、人民がただの[#「ただの」に傍点]人民である限り、到底巡査の特権の×××××に向って、太刀打ちすることは出来ない。そういう意識は人民の本能の内で中々深酷なのだ。一つ何とかして××の鼻をあかしてやりたいのである。処で之が大阪某連隊某一等兵の入営前からの願望だったと仮定しよう。
入営して見ると、とかくガミガミ云われながらも、「地方人」に対しては特権意識を有つことが出来る彼自身を発見する。俺は××の軍人だ。刀に手袋なんかを下げている巡査なんかが何だ。それに交通巡査などは、兵隊にして見れば××みたいなものではないか。それから、以前大阪で兵隊が続々と警察へ引っぱられたという警察の不埒な仕打ちもあると聞いている矢先だ。こんなことを考えながらこの一等兵は天神橋六丁目の交叉点をつっ切ったのである。とそう仮定しよう。
××××××××のような彼等が何だ。
××の時だって吾々が出なければ収りがつかなかった
前へ
次へ
全402ページ中45ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング