い。警官の素質が低下するのは、一体好景気の結果だと考えられるが、この頃のような不況時代には、却って警官の素質は良くなっている筈ではないかと思う。素質は良くなっているのだが、素質をよくした不況というこの同じ原因が、良い素質にも拘らず警官の各種の犯行を産んでいるのではないかと思う。泥棒やスリが増えるのと××して、××の犯罪者だって増すだろう。巡査と犯人とは決して××な存在ではないのだ。
 巡査だって普通の人間だから、どんな間違いや犯罪を犯さないとも限らない。警察当局の威信というような問題を別にすれば、ここには何の不思議もないのだ。まして巡査はあまり××××××××いる方ではないだろうから、「犯人」候補者(!)たる××××××××××××ものではない。尤も彼等が階級的に行動する時は決して自分の側の階級にはぞくさないが、そして為政者達はそういう矛盾に気付いたためか、この頃盛んに警官の身分保証や、警察官後援会の設立を計画しているのだが、続々犯行者を出している処だけから見ても、立派な「×××」の味方に外ならぬ。
 ただ世間で警官の犯行を特に不埒として感じるのは、巡査が巡査たる地位を逆用して犯行に利
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