本質には、国民の眼から見て何か淋漓たるものがあるだろうと思われる。だから案外、前政綱と新八大政綱との間には、一貫した或るものが客観的に存在するのである。この一貫した或るもの、之は実は正確に云うと例の祭政一致のことでもなければ、まして国民生活の安定其他の類でもない。夫が何であるかは、林首相などに聞くより陸軍大臣に聞くのが何より早途である――
 杉山陸相は八大政綱の発表に際して新聞記者に語っている、「決定した新政策は先に自分が師団長会議、東京在郷将官懇談会で述べた国軍の総合的能力の飛躍的向上発展を期するという趣旨と全く一致せるもので、今日ではこの考えは軍民一致、全国民の考えと一致するものと思う。いい換えれば狭義広義両方面の国防的見地から……」云々(東京日々四月十一日付)。陸相の体系[#「体系」に傍点]によると、八大政綱の一切が、思想問題であろうと国民保健問題であろうと、産業統制であろうと、その他一切の問題が、この広義国防(とは即ち狭義国防のことであることを注意せよ)の見地から、系統的に演繹出来るというのである。祭政一致論議も国民生活安定も加味するの論も、この体系からの単なる個々の演繹に過ぎ
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