・谷川徹三・豊島与志雄等の人々がその内に這入っていた。尤も学部に関係ある人は学部だけ残ったが。(私も四十七士の仲間に入れて貰った一人だ。)何と云ってもこの内で興味のあるのは野上氏と百間先生だろう。
反野上派と当時反野上派にすっかり吹き込まれていたお人よしの法政大学の学生生徒諸君とによると、野上氏位い官僚的な横暴な人物はないのだそうである。野上がいるために法政は自由を奪われ、学内自由主義は日に日に消え細りつつある、というのが、法政大学の進歩的な学生生徒の社会科学的分析である。なる程野上氏が人によっては官僚的に見えたり横暴に見えたりすることは事実かも知れない。だが凡そ官僚的でなくて横暴でない私立大学の理事などが論理的に可能だろうか。氏が決して官僚的でも横暴でもないらしいことは、夫人野上弥生子氏の小説「小鬼の歌」に就いて見るべきだ。
官僚的だとか横暴だとかいうのが、法政の出身者でなくて帝大出だとか、法政の卒業生の云うことを聞かないとかいうことだとすれば、真面目に対手となれぬ。だが私は事実野上氏を官僚的で横暴だと信じている。なぜなら夫によって初めて、氏は法政を出たあまり柄の良くない老先輩の
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