識が甘くて、婦人団体を道徳上の模範としているばかりではなく、更に進んで、この同情を守り、この道徳を傷つけないために、東北地方問題を専ら一つの自然現象[#「自然現象」に傍点]として見ようと努力しているその努力が立派に報いられたからなのである。
 成程凶作だったから農民が食えなくなったに相違はない。併し仮に豊作であっても飢饉にならないとは保証出来ない、という過去の事実を、世間人の浮気な同情は、まさかスッカリ忘れて了っているわけでもあるまい。所が凶作は冷害の可なり不可避な結果だったから、そして飢饉はこの凶作の結果なのだから、東北の飢饉の原因は冷害[#「冷害」に傍点]にあるというのが世間の人達の同情の原因なのである。
 安藤広太郎・寺尾博・岡田武松・藤原咲平等の農学及び気象学の学者達が集って、農相官邸で「冷害対策懇談会」を開いて、色々面白い研究が発表された。水温が低いと凶作となり又不漁になるとか、火山の爆発が冷害凶作の遠い原因にもなっているとか、注目すべき統計上の結果が公にされた。自然科学的な乃至は純技術的な観念からすれば、冷害対策はこの種のものとおのずから限定されるのは云うまでもない。
 だ
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