いいもので、今日最も勇敢な「軍人」は他ならぬ八百屋の小僧や呉服屋の番頭で代表される「市民」なのである。尤も、市電従業員は火薬や大砲を造る労働はしないし、市電は国有鉄道や満鉄や北鉄と連絡はしないのだから、市電従業員の罷業は、仮に「市民」にとっては大問題であっても「軍人」にとっては静観の対象に止まることも出来るのだが、文部省は天下の形勢を観て取って、青年団が争議破りに関係することを戒めようとする意向になったらしい。処が青年団の或る代表者は、個人の資格でスキャッブに参加するのなら好いではないかと云っているが、その個人の資格[#「個人の資格」に傍点]というのが取りも直さず市民の資格のことで、之が一等困りものなのだ。
軍部を初め文部省、それから内務省、大蔵省、警視庁に到るまでが、今度の市電争議に就いては争議団の方に従来に較べて多少の同情を示しているように一見見えるということは事実だ。相不変オッチョコチョイに躍り始めた「市民」達はそこで、一寸拍子抜けの態のように見える。市電従業員の日給は元来可なりに高すぎたから減給するのは当り前ではないかとか、苟も公共事業である市電でストライキをやるなぞは非国民
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