この上もないとか、相不変のヨタ捏ねてフラフラと立ち上った「市民」は、思惑が大分はずれたことに段々気づいて来たらしい。
その最も手近かな原因は、争議が秩序正しく且つ純経済的なので、口を※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]む余地がないからばかりではなく、実は「市民」達が足の不足を大して感じる筈のない程度に、市電や市バスが動いている、という都合の良い事実にあるらしい。処が一方市民が大いに困らなければストライキの本当の効果はないのだ。この矛盾の兼ね合いに、今度の市電争議の特色の凡てが横たわっている。この一点を少しでも行き過ぎると、争議は「治安」を害したり「不正」なものになったりするのである。その時は軍部や警視庁の「同情」を失う時で、同時に「市民」が時を得顔に、スキャッブとして活躍出来る時だ。
争議団中の東交の在郷軍人達が集って、在郷軍人徽章をつけたり軍服を着けたりして、主として軍部関係者へ陳情に出かけた。この争議の特色である。世間から見た一種の「正当さ」は、この陳情風俗に最も簡単に現われているのである。この争議は単に、国憲的なものと実は之と一つである資本
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