議士は、勢いに任せて今度は小山法相の収賄問題というのを持ち出した。併し之は明らかに図に乗り過ぎて早まったという形であるように見える。というのは、本当を云うと鳩山文相が辞職したのは、決して岡本一巳氏による「暴露」などと関係があったのではない。その証拠には岡本代議士は懲罰委員会から、衆議院の登院を禁止されたのを見ても判る。その理由は、岡本氏が軽卒にもありもしない鳩山文相の不正を「暴露」したからに他ならない。だのに岡本氏は自分の云ったことが本当だったもので、鳩山は文相を罷めなければならなくなったのだと思い込んで了ったのである。で今度は、その調子で、小山松吉氏をも罷めさせてやろうと考えて憲兵隊へ訴えて出た。処が都合の悪いことには小山氏は司法大臣の職にあるので、事件は交渉の上憲兵隊から検事局に廻されて、岡本氏はどうやら逆にひねり上げられそうになって来たのである。
小山法相(当時の検事総長)を饗応したという待合「鯉住」は、小山起三氏という弁護士の行きつけている処で、木内検事の取り調べの漸定的な結果によれば、饗応されたのは法相ではなくてこの弁護士だそうである。即ち岡本代議士は途方もなくあわてたもの
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