問会の議論によると、操縦及び艇内の水防等に原因があるのではなくて、波浪による傾斜に対抗するだけの復原力が不足だったのに基くということが明らかになった。要するにこの新型水雷艇は、設計上根本的な弱点を持っていたというのである。
 友鶴はロンドン条約の欠陥を補うための補充計画により、制限外の補助艦の一種として造られたもので、従ってそれに対する作戦上の要求に多少の無理があったろうというような想像も出来るわけだが、とに角すでに服役中の同型艇三隻は早速改造されねばならず、第二次補充計画にぞくする未建造十六隻の水雷艇の設計も根本的に立て直さねばならぬということになり、海軍では新たに調査会を組織して対策を練ることに決定したということである。
 一方に於て設計上の責任問題も当然起きるわけで、特に顛覆当時艇長以下二百名の将兵を失っている処から、問題は極めて重大であるが、それはいずれ軍法に照して処置するものは処置するだろう。何にせよ優秀な製艦技術を誇るわが軍部としては、之は国民に顔向けならない事件だということを、深く記憶しなければなるまい。
 鳩山文相を明鏡止水の心境から辞職の決意にまで追いこんだ岡本一巳代
前へ 次へ
全402ページ中175ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング