全く同じことを心配しているに外ならないだろう。で、荒木陸相が流感に罹ったことによって、わが国のファッシズムは愈々円滑な軌道の上に乗り始めた。世間では、円滑なものだからウッカリ之をリベラリズムと呼んでいるのである。
[#地から1字上げ](一九三四・四)
[#改段]
スポーツマンシップとマネージャーシップ
一、スポーツマンシップとマネージャーシップ
デビスカップ戦に出場のため欧州遠征の途上にあった世界的庭球選手、早稲田大学商科学生、佐藤次郎氏がマラッカ海峡を航行中の箱根丸から突然行方不明となったが、自室から遺書が発見されたので覚悟の投身自殺を遂げたものだということが判った。
遺書には理由らしいものは全く認めてなく単に僚友選手あての謝意と激励とが書き残されただけで、まだしかとした原因は判らないらしいが、何でも前日シンガポールに滞泊中一旦下船、帰国の決心をしたそうで、船長は極力それを勧めたのだが、シンガポール在住の邦人有力者達は是非行けというし、庭球協会からもどうしても行けという命令が来たので、遂々意を飜して再び船の上の人となったのだそうだ。月明りのマラッカ海峡が自分の最後
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