ろう。治安維持法と治安維持とは必ずしも対応するとは限らないのである。
 委員達は無論共産党は大嫌いだし、又右翼団体も今云ったように、あまり好きではないのだから、治安維持法へ無理にファッショ取締りの役目を課すことによって共産党弾圧の力を鈍らせるより、治安維持法は純粋な治安維持法としておいて、寧ろ別に右翼取締りの統一的な法律でも出した方が賢明ではないかと思う。併しそれはまあ別の話として、治安維持法即ち共産党弾圧法そのものを、もっと有効に改正する必要があるということを、委員達はこの際ハッキリ認識しなければいけないのである。というのは、今度の改正法律案でも、依然として、尊厳なる国体と、かの外来の私有財産制度との、くされ縁が切れずにいるからである。
 最初の治安維持法では「国体の変革又は[#「又は」に傍点]私有財産制度の否定」と云ったような呑気な法文だったのが、第一回の改正では、同一条項の下に、国体の変革と私有財産制度の否定とを別行に直したが今度の改正で、それが第三条以下と第八条以下とに別条にすることになっている。
 だがこうしても矢張、共産党員も共産党員でないものも、わが国体と私有財産制度との
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