起草の技術から云っても右翼団体取締りの項目を※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]入することは困難だというのである。ファッショ的活動に対しては、五・一五事件の場合のように、殺人、放火、爆発物取締規定違反、暴力行為取締法違反、出版法違反、等の罪名でよく、もしそれでも間に合わない場合には内乱罪で取り締れば良いではないか。戦争を挑発したりして安寧秩序を害する不穏文書の取り締りのためには、出版法を改正しようではないか、というのである。
吾々は併しどうも政府側のこの議論の方が筋が通っているのではないかと思う。一体委員達は、治安維持法というものの精神を根本的に誤解しているようだ。治安維持法という名が付いているからと云って、この法律が、治安を維持するために必要で充分な法律だなどと思うのが非常識で、治安維持法というのは、単に共産党弾圧法以外のものではないのだ。共産党が治安を乱そうが乱すまいが、又治安維持しようがしまいが、とに角共産党の存在がいけないぞという法律が之なのだ。だから仮に右翼団体が治安を乱るとしても、治安維持法で之を取締れなどと云われるのは甚だ迷惑なことだ
前へ
次へ
全402ページ中151ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング