利になるような改正案ではないのだから、委員達は例の調子で一瀉千里スラスラと片づけてくれるだろうと思っていたが、この委員達に限って仲々シッカリしていると見えて、政府が心配してイライラする程審議は停頓している。
 委員会の開催はすでに九回以上にも及んでいるが、まだ政府に対する質疑を打ち切るに到っておらず、法律ばかり厳重にしても無効だとか、軍部大臣の出席を求めるの、軍人の政治干与に就いて海軍側の意向をただせのとダダを捏ねている(陸軍は、林陸相の言明を信じるなら、今では海軍よりももっと左だから問題はないが)。
 こんな立派な而も時節柄「重大性」を有った改正案になぜそう文句をつけるのかというと、彼等委員達、即ち代議士達が「右翼」に就いてはツクヅク懲り懲りしたからで、右翼取締りの条項をこの際何とかして治安維持法に※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]入させようというのである。
 処が政府側の見解では、一体右翼団体は共産党のような国体否定の思想体系を有っているのではなく、又その組織も大衆的全国的国際的ではないのだから、団体そのものとしては取り締る必要はないし、又法文
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