国民思想善導に貢献せん」ことを期している。メートルは非愛国的[#「非愛国的」に傍点]で、思想を悪導[#「悪導」に傍点]するものというのである。――倫理化欲の旺盛なさすがのわが国の為政者も、メートルだけは倫理化出来ないらしい。一メートルを107[#「7」は上付き小文字][#「107[#「7」は上付き小文字]」は縦中横]倍すると地球の象限弧になり、又一メートルを1553164.1で割ると、定温定圧のカドミウム赤色光線の波長となるのだが、カドミウムや地球ほど度し難い不道徳な存在はないのだ。
合理的であることでは、善良なことはないだろう。不合理であるが故に善であるということはないだろう。メートルが不道徳なのは、だから、それが合理的であるからではなくて、多分、それが国際的[#「国際的」に傍点](インターナショナル)だからに違いない。
だが、わが国の文化ファッシスト諸君はあわててはいけないのである。インターナショナルというのは、コミンテルンのことではないのだ。インターナショナルとコム・インターナショナルとを一緒にしているから、インターナショナルなメートルを不道徳だと思い込むのである。インターナショナルであること自身は少しも不道徳ではない。吾々はその証拠を挙げることが出来る。七月十四日、定例閣議の席上で、小山法相は次のような秘密を洩している。ジュネーヴに本部を持つヨーロッパの反共産党民間団体(之はあの不道徳な国際連盟[#「国際連盟」に傍点]とは無関係だ)から、わが国の某方面に向って、加盟を勧誘して来て、国際的[#「国際的」に傍点]共同戦線を敷いて、共産党撲滅の方策を樹立しようではないかと云って来たそうで、わが国もこれに加盟したいという某方面の希望があるが、どうだろうかと。この「反第三インターナショナル」なる団体は、インターナショナルで而も秘密結社であるにも拘らず、閣僚誰一人として、その道徳性に疑いを※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]んだ者はいなかった(七月十五日付東京朝日)。
で悪者はインターナショナルではなくてコム・インターナショナルであることは明らかだ。両者を混同することが、メートル法排撃、度量衡倫理化[#「度量衡倫理化」に傍点]運動の秘密である。
一体一尺というのはどれだけの長さのことを云うのか。メートル原器で決める外はないでは
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