黷驕B世界観上に於けるこの理想主義が、存在論上に於ける唯心論と等価物であることは明らかである。
 吾々は、かりに哲学一般の構造を三つの段階に分けることが出来よう。第一に最初に来るものは世界観、第二に存在論、第三に最後の認識論(乃至論理学)。そこでこの三段階に相応して、唯物論は夫々、現実主義・唯物論・実在論となる。之に反して唯心論は、理想主義・唯心論・観念論の一列の系統をなすと云うのである。
(多くの哲学者は吾々が先から「存在論」と云って来た箇所に、「形而上学」という言葉を入れ換える。併し吾々は形而上学という言葉を、も少し外の連関に於て用いる必要があるので、特に存在論という言葉を選んだ)。
 欧州の哲学――そしてそれが今日の吾々の哲学である――に於て、唯心論(以下特に断らない限り観念論、理想主義を含む)が最初に最も意識的となって前面に現われたのは、ソクラテス(〔So^krate^s〕)に於てであった。自然の代りに人間が、社会が、道徳が、哲学の名に値いする中心問題でなければならぬと、この偉大なソフィストは考えた。この理想主義的(それは当時のギリシア社会の行き詰りからの反発なのだが)世界観は
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