ェ彼の弁証法である。ソクラテスの対話術の精神はプラトンの諸対話篇となったのであり、プラトンは其等対話篇を通じて、諸概念の帰納と演繹とを極めて理論的に展開した。この彼独特の概念分析をプラトンは最高の知識の形式(哲学)と考え、この学乃至方法を弁証法と名づけた。弁証法はプラトンに至って初めて哲学的方法の名になったのである。弁証法がプラトンに於てかくも積極的なものとなりかくも質量あるものとなったにも拘らず、之が結局の処存在それ自身には関わりない主観の概念分析の内側に留まっていた弁証法であることを注意しなければならない。成程弁証法は存在という対象を明らかにするための方法に違いないのであるが、併しプラトンによればこの存在それ自身が全く固定した、地上から浮き上って凝結した、イデアなのである。見られるものを意味するイデアの概念は、それに就いての近代風の解釈がどうであろうとも、要するに何か幾何学的図形を表象させるようなそういう一定形態(形相、形式、エイドス、本質)を指し示す。それは生成変化するものの正反対物であり、又それであればこそ感性界の有為転変の彼岸としてプラトンが召し出した所のものである。もし仮に
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