熨揩オて最も深くニュートンに動かされた十八世紀の哲学者であろう。と云うのは、ニュートンの数学的方法による自然研究は、それが数学によって支配される限り、疑うべからざる必然的で普遍的な認識(認識をカントは経験という言葉を辿って理解している)を与えるものであるが、この経験の必然性と普遍性との説と、例の経験論乃至それに由来するヒューム的懐疑論とが、如何に折り合うことが出来るかが、カントの何よりの関心を集中した問題である。
従来の論理学の常識によれば、先天的な判断を下し得るものは分析的(演繹的)判断だけで、総合的な判断は凡て経験的な通用性しか持たない。処がニュートンの数学的方法による自然科学の根柢には、先天的で総合的な判断が横たわっている。そこで、こうした判断を理解し得るような新しい論理学が必要でなくてはならぬ。之をカントは先験的論理学と名づけた。
先天的な而も総合的な判断はまず第一に数学に於ける諸判断である、とカントは主張する。数学の判断は概念だけでは出来上らない。それが構成されるためには、まず直覚=直観(それは全く感性に属するもので悟性やその概念には属さない)がなくてはならぬ。三角形とい
前へ
次へ
全200ページ中180ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング