Pの或いは最悪の見本に他ならない。
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新聞
(英 news−paper, 独 Zeitung, 仏 journal)
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単に新聞紙に限らず、広く新聞現象を指す。人間社会のイデオロギー交通の一つの契機であり又一形態である処のジャーナリズムは近代的様相としては、出版、ラヂオ、キネマ、演台(舞台及び演壇)、博覧設備(展覧会・博覧会・陳列台・ショーウィンドー・ネオンサイン・スカイサイン・アドバルーン・其他)等の現象をその乗具とするが、この内出版(乃至印刷)現象にぞくする書籍・雑誌・パンフレット・ビラ・ポスター・伝単・等々と並んで、近代出版現象の代表的な一つとして新聞現象を数えることが出来る。一般にジャーナリズムというと近代ブルジョア・ジャーナリズムだけを考えたり、また極端な場合には新聞紙と連関した行動だけを考えたりするが、ジャーナリズムは近代ブルジョア・ジャーナリズムや新聞に較べて遥かに一般的な又歴史的に古い規定である。
近代新聞紙が発生したのは十七世紀前半のヨーロッパ各国の大都市に於てである。之は初めグーテンベルク(Johannes Gensfleisch Gutenberg, 1394(−99)−1468)の手押機械を用いた四六版数頁の週刊新聞紙に過ぎなかったが、十九世紀の中葉までに資本主義の発達と政治的自由主義の伸張とに沿って極度の発達を示すに至った。併し近代新聞紙に限らず一般に新聞現象として見る限り、その起源は遥に古い。新聞紙の初めと看做されているのはシーザー(〔Gaius Julius Cae&sar〕, 100−44. B. C.)の Acta Diurna や前唐玄宗帝の『邸報』の如き官報類似のものであったが、ローマ貴族及び中世ヨーロッパ諸侯は、通信奴隷や通信臣下を用いて情報(間諜制度や、使節制度による)を収集したが、之が自由に回読されたりノベリスト等やゼンガー等によって読売されることによって、やがて手書き新聞となった。更に近世初期のブルジョアジーはその商業上の報知のために消息・往来を交換したが、夫が今日の近代新聞紙の初めをなす。
新聞紙は新聞現象の機関乃至乗具である。之を発行するインスティチュートは新聞社であり、新聞社にあって新聞紙を編集・発行するものは新聞記者(広義の)であり、新聞紙を購読する者
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