外ならない)。又この三次元は変換し得る(transformierbar)性質を持つ。この交換性と変換性に於て等方性[#「等方性」に傍点]の概念の生じる基礎があるのである。恐らく人は問うであろう、上下と左右は交換し得るかと。その人を横たえれば質問は撤回されるであろう。
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* あるカント学徒は三次元性と空間=延長とを切り離すことによって、又シェリングは演繹によって、延長の三次元性を説明[#「説明」に傍点]した。ポアンカレは之に反して之を分析[#「分析」に傍点]している(〔Poincare', Dernie`res Pense'es, p. 55 f.〕)。
[#ここで字下げ終わり]
延長の次元は次に等質性[#「等質性」に傍点]を有ち直線性[#「直線性」に傍点]を有つ。物理的、幾何学的、心理学的空間は場合によってこれ等の性質を持たないし或いは持たないと考えられるが、そのような専門的概念を今茲で問題にしているのではない。吾々の空間がこのような専門的規定に先立って特に等質的でなく又直線的でないと考える動機を、吾々の空間概念に於て発見することが出来ないで
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