――は意識の支配を俟ってはならない。かくて空間概念が有つ存在性の事態は全く特異の仕方に於て分析されねばならないのである。――そこで概念に於ける分析、之が吾々の用意しておいた言葉であった。今や空間概念の事態は空間概念の性格と動機とを標準として[#「性格と動機とを標準として」に傍点]分析されるべきである。常識的空間概念という言葉の下に元来吾々が如何なる事態を表象していたかが始めて茲に至って明らかにされるであろう。けれども吾々は決して何か目新しいものを提供しようとするのではない。それは人々が日常[#「日常」に傍点]最も好く知っている筈の[#「筈の」に傍点]ものに外ならないであろう、ただ人々が普通[#「普通」に傍点]それを自覚し確保していないというまでである。この最も当然[#「当然」に傍点]なるもの――それであればこそ常識的[#「常識的」に傍点]概念である――をそのものとして把握する代りに、人々はただあまりに多くの説明[#「説明」に傍点](専門的或いは非専門的な)に慣ら[#「慣ら」に傍点]されて来たというまでである。例えば人々はこの最も当然な空間概念をば、或る単純と想像される要素――場処(Pl
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