fte, S. 111〕)
[#ここで字下げ終わり]
空間概念は、存在性の概念として理解される時、歴史上、最も普通[#「普通」に傍点]に次のような名辞[#「名辞」に傍点]として現われる[#「現われる」に傍点]性質を持っている。第一は「何処」(ubi)として*。この問いの形を具えた範疇は「此処」又は「彼処」の範疇に於て答えられる。これ等の範疇が存在性[#「存在性」に傍点]の概念を云い表わすことは一応之を承認しなければならない。――「何処」とは、「何」であるかという存在者[#「存在者」に傍点]を問うのではないから。けれどもかく問われかく答える時、已に吾々は、かく問うことが出来[#「出来」に傍点]又かく答えることが出来る[#「出来る」に傍点]ことを理解[#「理解」に傍点]していなければならないであろう。問われるものが空間的に存在し得ることを知って始めて「何処」を問う動機[#「動機」に傍点]を吾々は持つ。空間的に存在し得ないものに就いてこの問いを発することには意味がない――動機がない――筈である。併し或る物が空間的に存在し得、之に反して或るものはそうあり得ない、ということを知るには、少くと
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