、空間そのもの[#「そのもの」に傍点]を分析[#「分析」に傍点]することを欲する。第二に空間概念はアナロギーとして理解されてはならない。例えば「色の幾何学」「音の幾何学」などに於ける色・音の空間、人々が好んで問題にしようとする絵画に於ける空間、その他任意の何々に於ける空間など(そしてヘルバルトの英知的空間の如きも亦)、何処までが本来(per se)の空間概念であり、何処からがアナロギーとしての空間概念であるかを、注意深く見分けることが必要であるであろう。アナロギーとしての空間は之を常識的空間概念と混同してはならない。かくて空間概念は常にそれ自身として、即ち他の概念に従ってではなく空間概念自身を支点として、取り扱われなければならない。――空間概念だけを前景に持ち出し、之を独立の問題として正面的[#「正面的」に傍点]に臨む時に始めて、空間概念の分析[#「空間概念の分析」に傍点]の意味は成立するのである***。
[#ここから2字下げ、折り返して3字下げ]
* 空間を神に付属せしめて理解することは昔から行なわれた処であるが、その最も著しいものはヘンリー・モーア、及びニュートンであろう。
**
前へ
次へ
全124ページ中54ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
戸坂 潤 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング